商法改正と輸出入実務、荷送人と運送人の関係とは?
商法改正案が今年12月の国会に提出、と報道されています。
貿易実務に関係ないようですが、実は大いに関係ありです。
商法「運送・海商法」は、1899年に制定されて以来、
改正されていないとのことで、
カタカナ文語体の条文のまま、規定の輸送方法も当時のままとか。
さらに、
・航空輸送を規定していない
・飛行機やトラック、船を組み合わせる複合輸送も想定していない
約120年前から変わっていない商法を時代に即した法改正になります。
▼荷送人の「危険物通知義務」も商法に規定されます
『荷送人は、運送品が引火性、爆発性その他の危険性を有する物品
である時は、その引渡し前に、運送人に対し、その旨及び当該物品の
品名、性質その他の当該物品の安全な運送に必要な情報を通知しなければならない』
国際輸送だけでなく、国内輸送も含め、危険物を輸送する場合、
荷送人は運送人に対して、
・申告義務がある
・荷送人は、「過失責任」を負うことになります。
危険物を国際輸送する場合、MSDS(安全データシート)に沿って、
危険物分類の判定をするのが一般的だと思いますが、
商法で規定される荷主の責任を考えると、このような対応も必要でしょう。
・MSDSをそっくり信用しないこと
・自分で確認すること
▼荷送人と運送人の関係とは?
荷送人とは、荷主のことです。
つまり、輸出入されるみなさまのことです。
これに対して、運送人とは、船会社・航空会社となります。
実際にはこのようなキャリアーと直接契約することは稀だと思います。
フォワーダーに混載輸送委託をする場合がほとんどでしょう。
フォワーダーに輸送委託した場合、
BLを発行する「利用運送業者 NVOCC」が運送人となります。
同時に、船会社・航空会社にとっては、NVOCCが荷送人ともなります。
混載貨物を代表して船会社・航空会社に輸送委託しているためです。
フォワーダーは、二つの顔をもっていることになります。
荷送人であり運送人でもあるのです。
しかし、フォワーダーがすべての責任を負ってくれるわけがないので、
荷主としての責務について理解しておくようにしましょう。