日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか
海上輸送も航空輸送も大混乱になったコロナ禍の直前に
赤字に悩む老舗日本の大手海運3社のベンチャー事業がスタートしました。
Ocean Network Express(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス、通称ONE)
この日の丸コンテナ会社のことを取り上げた最新書籍の情報を共有させていただきます。
『日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか』
(日経BP、松田琢磨・幡野武彦著)
2008年のリーマン・ショック以降、欧州系船社による攻勢を受け、
アジア系・中国・日本の海運会社が生き残りをかけて、
ある意味で「コップの中の争い」が繰り広げられてきました。
日本の大手海運3社のコンテナ船部門も苦境に陥り、
コンテナ部門を売却するのではないかと危惧される状況でしたが、
いままでの競争相手であった者同士での共同事業をスタートしました。
ごてごての日の丸大手企業の分社化が背水の陣での門出でもありましたので、
この3社相乗りのベンチャー企業がうまく行くか不安視されたスタートでした。
コロナ禍での大混乱でコンテナ運賃の急騰とも相まって、
赤字お荷物部門からの大逆転劇(スタート2年目から単黒)となりました。
V字回復サクセスストーリーの一冊です!
▼コンテナ業界は、ほとんど水面下を潜っているクジラのよう
コロナ禍でコンテナ1本あたり数万ドルになるなど、コンテナ運賃の高騰ぶりは異常でした。
その結果、現在の海運業界が利益を上げたことは事実ですが、
過去20年間、利益率が非常に低いか全く無い状態であったなど
コロナ前までは、コンテナ運賃は極めて低水準で推移し、
国内トラック運賃より、コンテナ運賃のほうが安いという状態は当たり前でした。
海運業界は、いままでも好況となるのは短期間で、
ほとんど水面下を潜っているクジラと同じようだと 自嘲する言い方もありましたが、
こうした業界再編と淘汰の歴史を知ることもできる一冊でもあるでしょう!
▼著者あとがきより「水と空気とコンテナ輸送」
いまやコンテナ輸送なしに我々の生活は成り立たないが、
あまりに当たり前すぎて水や空気のような存在になっている。
本書を読んで少しでもコンテナに興味を持ち、
その中で海外船社と伍して競争しているONEの活躍を知ってもらえば、
それに勝る喜びはない。