ハマのドン
今回のテーマは、「ハマのドン」です。
「ハマのドン」とは、
横浜港の老舗企業である藤木企業の会長・横浜港運協会会長を務める藤木幸夫のことで、
自民党幹部との人脈も持つ保守の重鎮でありながら、
カジノは市民のためにならない、
いままで横浜港を育ててくれた多くの港湾作業員に申し開きが立たない、
との強い信念で、カジノ誘致阻止に強い信念を持ち立ち向かった。
それも御年91歳で、
「主権は官邸にあらず、主権在民」を掲げ、政権中枢に対して全面対決した。
結果、2021年横浜市長選に圧勝、最終的に菅政権を退陣へ。
横浜港へのカジノ誘致案は阻止されました。
集英社新書「ハマのドン」(松原文枝著)という書籍が発売されています。
(著者 松原文枝のことばより)
「選挙で勝てば民意を得たりと数の力で強引に推し進める今の政治に対して、
市民の手で変えることができることを共有できたらと思う」
また、ドキュメンタリー映画も封切になりました。
▼まだコンテナ港になる前の横浜港のことを思い出す
横浜・桜木町の駅前で多くの港湾労働者が手配のトラックが来るのを待っていた。
1円賭博をしながら。
このような風景が日常であった1970年代ころを思い出します。
荷揚げ荷下ろしの作業は本船から艀、艀から桟橋と荷物を移動させるために、
多くの作業員を要する人海戦術の仕事でありました。
コンテナ化ですっかり港の風景も変わってしまいましたが、
「ハマのドン」のような気骨のある港湾マンの精神は引き継がれています。
▼海上輸送を利用するときに切っても切れない「フォワーダー」
コンテナ輸送が導入されても、
港湾事業は、船会社・倉庫会社・荷役会社の分業体制で成り立っており、
港湾での荷役作業を取り仕切ってきたのが、藤木企業などの荷役会社(フォワーダー)です。
かつては、「乙仲」という名称で呼ばれていましたが、現在の「フォワーダー」です。
この書籍から、藤木自身のコメントが印象的です。
「港湾というとヤクザとの関係が取りざたされるが、
それは昔の話しで、今は港湾荷役を一つの産業に育てたという自負がある」
「コンテナターミナルのスピード・信頼性評価で、横浜港が世界一になった」