ヒポクラテスの教え
2022-02-01
長年イタリア・ローマ在住で作家活動をしている塩野七生さん。
昨年、ローマ市内の自宅で転倒、手術しないといけないほどの怪我となり、
カトリック教会が運営する病院に入院されました。
それもすごい病院で、ローマ法王御用達の病院だったそうです。
入院中に書いた エッセイが文藝春秋1月号に掲載されています。
病院内のいろいろのことを作家特有の好奇心でとらえた視点が、実に面白い。
特に、どこで調べたのか、このようなことも紹介されていました。
▼ヒポクラテスの教え
イタリアでは、医学部を卒業するとき、卒業証書とともに、
ギリシャ時代の有名な医者であったヒポクラテスが書いた医者になる者の心構え
「ヒポクラテスの教え」という書面も渡されるそうです。
人命を尊重し、患者のための医療を施すことなどの医療倫理についての教えだそうですが、
「だれでも受け入れるが、費用を前払いしないと退院できない」という一行もあるとか。
先日アラブの王様がこの病院に入院した際にトンズラされたこともあり、
塩野さんは、しっかり前払いであったそうです。
▼海上輸送での船荷証券B/Lと貨物の引き渡しが複雑なことから、このように感じました
ヨーロッパとオリエントとの交易で繫栄したイタリアに思いをめぐらせ、
当時の貿易決済、モノとカネの引き渡しも、ヒポクラテスの教え(前払い)が原則であったのでしょう。