「瀬取り」という言葉でFASを思い出した
2018-06-05
北朝鮮がらみで、たまに「瀬取り」という言葉が報道されています。
公海上で船から船へ物資を横流ししている映像が思い出されますね。
この「瀬取り」という言葉は、ちゃんとした貿易用語です。
▼インコタームズ FAS
海上輸送に適したインコタームズとして、FASがあります。
FAS = Free Alongside Ship 船側渡し
船側渡しという取引条件ですが、「瀬取り」と同じ意味です。
このインコタームズFASは、主に原料などの輸送で
大型本船から艀(はしけ)などの小型船に積み替える場合に使われています。
コンテナが登場する前には、東京港でもよく見かけた風景でした。
東京港の岸壁は水深が浅かったため、沖に大型船を停泊させて、艀(はしけ)など小型船が
貨物を引き取り、江戸川などの河川を行き来していました。
▼いまでも行われている「瀬取り」
現在の東京港はそのようなことはなく、直接岸壁に接岸できますが、
コンテナの時代になっても、「瀬取り」が行われていることをご存知でしょうか。
日本の港ではこのようなことはありませんが、
アジア地区のコンテナ港では、さらに奥地まで河川をのぼってゆくことがよくあります。
このような場合、
コンテナヤードと反対側に艀(はしけ)などの小型船をコンテナ船に横づけにして、
直接コンテナをおろし、上流に向かっています。
作業中にコンテナがバランスを失うなどかなり危険な作業ですが、よく見かける光景です。